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あの世界の片隅で

NEWS、テゴマス関係で観たこと読んだこと経験したことの感想。Twitterのまとめも。

加藤シゲアキ主演舞台「中の人」感想

 観劇*1後、Twitterで呟いた感想をまとめたものです。少し加筆修正しています。

                                            

  「中」という言葉の持つ色々な意味がいくつも織り交ぜられた舞台だった。たとえば社会の中と外。自分自身の中と外。話題や共通認識の中と外。

 ひとつの社会の中に入ると外から見ることは難しい。中の人には共通認識でも外の人には理解不能なことも多い。勇気を出して中に入れば大変なこともあるけれど得られるものもある。同時に外からはあの人は「中の人」だと認識されてしまい、失うものもある。物語のこの感じ、NEWSファンになった自分と重ねて笑ってしまった。外にいる時は少し怖さも感じていたのに今ではすっかり中の人。外から見たらジャニオタの痛いおばさんだけれど、中は楽しい。一方でシゲ演じる坂崎と県外に嫁いだ自分も重ねてしまった。同じ日本といえど言葉も習慣も違うことが多く、人見知りなことも加わり「中」に入るのに非常な勇気が必要で。そんな自分を俯瞰して嘲笑う自分、外から見ている方が楽だしとクールを装っていた自分、ここに来るために好きな仕事を諦めたと言い訳して「中」を探そうともしなかった自分の姿を見せつけられているようで、痛かった。物語としての一貫した面白さに笑い声を上げつつも、同時に感じる痛みに耐えるため途中からずっと自分の体を強く抱きしめながらの観劇だった。それに加えてシゲが辿ってきた軌跡を目の前で再現されているようで、それも痛かった。シゲにとっては「中」に入れなかった自分、自分の「中」を直視して受け入れられなかった自分は過去の自分だからこそできる演技を見せてくれて、それが素晴らしかったから尚更痛くて。

  そして自分の「中」。私は心についた傷はなくなることはないと思う。時間や努力や優しさが幾重にも傷の上に重なり包み込み、やがてきれいな琥珀が出来上がったとしても、中を覗き込むと傷が閉じ込められている。外から見た琥珀の美しさに「いい思い出」「いい経験」と消化したとしても、その傷が核になったからこそできた美しい琥珀だったとしても、傷があることに変わりはない。私の中にも、シゲの中にも、そして多分誰の中にもそういう傷はある。観劇時の痛みはそんな中にある傷を抉られるような痛みだった。

 はこやん誕生の時に流れるSkeeter Davisの「The End of The World」。この曲、大好きで歌詞も完璧に覚えていたので、なぜここでこの曲?と観劇中からずっと考えていた。失恋して私はこんなに悲しいのに何で世界はいつもと何も変わらないの?と嘆く歌詞。単に穏やかなメロディーが合ったからかもしれないけれど、私の中で腑に落ちた答は結局これも失恋という悲しみの「中」にいる人の歌。中にいると世界が終わる程の悲しみでも外の人にとっては残酷な程小さなこと。NEWS脱退のことも中にいなかった私には単なる芸能ニュースの一つだったように。

 観劇中は「勇気を出して中に入ること、自分の中をさらけ出すことの素晴らしさ」がテーマだと思っていた。けれど物語はそんな浅い考えを一蹴してあっさりと、そして鮮やかに終わった。自分の「中」をさらけ出してすっきりした表情の坂崎に、彼のファンだった夏鈴がにっこり言い放つ「中の人は見たくなかったかも」。中を全部見せるとエンターテインメントとして成立しない。私がNEWSのファンになったのは美恋魂DVDからだけど、NEWS4人の「中」が露出していた。何も知らなかった私でもそこに感動し涙したけど、ここまで彼らを好きになったのは、彼らの「外」、あの時のコンサートの素晴らしさ、4人のNEWSに魅力があったからだと改めて理解した。その時は見せる必要のあった「中」、皆が見たいと願った「中」であっても、しっかりした「外」がないと更に外側からそれを見ている人には魅力的に映らない。素晴らしい「外」を見せてくれるからこそ、ほんの少しだけ透けて見える「中」も魅力的に映るのだ。逆に何も問題がないように見えても実は「中」に色々な傷や苦しみを内包している「外」の方が思いがけず輝きを増すこともある。

 奥の奥を覗き込めば傷が存在している美しい宝石を、自分たちが作ったんだ、素敵でしょ、大切なんだ、大好きなんだよと微笑みながら自信を持って差し出してくれる今のシゲ、そんなシゲのいるNEWSがその宝石に更にどんな輝きを持たせてくれるのか、今後がとても楽しみになる舞台だった。

                                            

 この舞台で山内圭哉さんの演技を初めて拝見したけれど、最初から最後まで山内さんの演技に心奪われっぱなし。本当に素敵な役者さんでした。そんな彼がブログでシゲのことを「純朴なくせにロジカル。俯瞰できるくせに不器用な彼」と。こんなに的を射た評が可能なほど一つのチームになってたのかと思うと嬉しい、と観劇後呟きましたが、舞台の後もみんなでバーベキューに行ったりして、本当に仲良くなっていたんだとほのぼのしたなあ。まっすーや慶ちゃんもだけど、シゲも年上男性から可愛がられキャラだよね♡

 本当は舞台のシゲとNEWSのシゲは切り離して考えるべきなんだろうけど、あまりにリンクする内容で、やっぱり考えずにはいられませんでした。この時期にこの舞台をやったことは彼にとってとても大きいものがあったんじゃないかな。観劇後もう9か月もたったけれど(早い!)ここ最近のシゲは肩の力が抜けていて心から楽しそうに自信を持って色々なことにチャレンジしているように見えます。あれからたくさん短編を執筆したり映画化が決まったりして、本当に今のシゲからは目が離せないし、これからのシゲが見せてくれる世界も楽しみで仕方ありません。

 

*1:2014年5月17日(土)17:30~