あの世界の片隅で

NEWSで観たこと読んだこと経験したことの感想。Twitterのまとめも。

「タイム・トラベル」に見る増田貴久と和語の親和性

 前回の記事から実に1ヶ月半近く。思えばその間に色んなことがありました。水曜歌謡祭の数々のコラボ。Myojoのまっすー10000字。まっすーとシゲのお誕生日。予約までして発売日に入手したのに読みそこねていたシゲアキ先生の短編集。語りたいことはたくさんあれど、仕事と家事とに忙殺され、気づけばもう明日にでもテゴちゃんの10000字が読めるじゃないですか。というわけで(?)まっすーの10000字の感想は4人全員分読み終えてから書くことにしました。単に時間がないだけということもあるけど。簡単に言うと私は彼の10000字を読んで泣いたのですが、それは決して感傷に浸ったとかそういう類のものではなく、やっぱり彼は思った通りの人だったなあという感慨に浸った涙でした。この件についてはまた整理して書きたいなと思っています。

 

 この1ヶ月半は水曜歌謡祭という番組にまっすーがほぼレギュラーのように呼んでもらえていることの奇跡を改めて感じた期間でした。小野正利さんとの「You're the Only…」コラボの時には歌うふたりを息を殺しじっと見つめ耳をひたすら傾けていました。彼自身のキーよりずいぶん高かったところでの厳しい勝負から逃げずに立ち向かうまっすー。そんな場面においても小野さんを見つめる瞳の輝き。小野さんがコラボの感想として真っ先にまっすーの瞳のキラキラに触れ、惚れちゃいそうとおっしゃった気持ち、ファンなら誰しも理解できるものだったと思います。

 そして、今回の本題。原田真二さん・三浦大知さんとの「タイム・トラベル」のコラボ。本当に素敵なコラボだったと思います。以前の記事*1でまっすーが歌うことについて、こう書きました。

 増田貴久という人の歌声はひとつの物語を、ひとつの世界を作り出す。単なる空間ではなく、きちんと生の営みがあって、人々の喜怒哀楽が溢れている世界。彼が歌うと、つまり「増田貴久」というフィルターを通すと、それまでその楽曲が私にとってそんなに魅力的でなかったとしても、新しいひとつの物語世界となって私の前に現れる。それがどなたか別のアーティストの楽曲だった場合、元の魅力に「増田貴久」成分が加わって、新しい物語が目の前で展開されていく。彼の作り出す色彩や温度や光が加わっていく。そして気づくと自分もその中に包まれていたり、たゆたっていたりする。彼の歌声にはそういう魔法のような力があるんだと。

「タイム・トラベル」という以前から大好きだった名曲を今私の大好きな人が歌ってくれる幸せ。この曲はスピッツがカバーしているから、まっすーも知っていたかもしれないけれど、自分が昔好きだった曲を自分よりずいぶん年下の彼が知ってくれることも嬉しいし、さらに新たな魅力ある世界に仕上げてくれていて、心から幸せでした。もちろんそれはまっすーだけの力によるものではなくて、三浦さんの歌声や原田さんの演奏の力があったからこそのもの。三浦さんとのコラボ、大好きです。ふたりの関係性がどんどん親密になっているように見えるけれど、そういうこともふたりのハーモニーに影響しているのかも。そして以前からいつか三浦さんとダンスコラボもしてほしいなあなんて思い、番組にもリクエストを送っていたのですが、まさかその夢がこんなに早く叶うなんて思ってもみませんでした。チャールストンを楽しそうに踊るふたりが素敵で茶目っ気たっぷりで可愛かった♡

 そんな風に色々と見どころ聴きどころポイントはあったのですが、今回私の彼を好きなポイントが新たに加わりました。というか、自分のフェチを発見しました。それがタイトルに書いた「まっすーと和語の親和性」。演奏始まりの原田さんの優しいピアノの音で本の表紙が開かれて、物語の1ページ目に目を落とすような思いだったところに、まっすーが歌った歌詞が「街の外れの旧い館が君の家」。この「館」という和語がね、なんて彼に合っているんだろうかと思ったんです。歌詞としてありえないとは思うけれど、これがもし「洋館」という漢語だったり、思いつかないけれど何かしらの外来語だったりしたら、また全然違う趣になったと思うんですが、「やかた」という和語の柔らかい音を歌うまっすーが好きで好きで。彼が歌い始めた時に黄昏時から逢魔が時へと移り行く時の薄紅色*2と半色*3が混じり合ったまどろむような空気の中にたたずむ旧い館が見えるんです。ついでに言うと最初の「街の外れ」も和語と和語の組み合わせで、だから歌の始まりのこの一節はまっすーが歌うと毎回崩れ落ちそうなぐらい大好きです。さらに言うと、多分私は彼の発する母音も好きなんだと。「やかた」のところはメロディーがゆったりしていることもあって、三つの「a」音がきれいに聞こえるんですよね。私にとってはこんなに好きなポイントが詰まっているので、このたった一語に毎回滾ります。

 自分でも細かすぎてちょっと引くし、あまり(ほぼ?)共感を得られないような気もしますが、そういうわけでこのコラボ、もう何度リピートしたかわかりません。一日一回は少なくとも録画したのを見ているし、音源をアラームにしたので、ほぼ毎朝この歌い出しで目が覚めています…なんて贅沢な朝。

 

 このコラボで思ったのは、まっすーに日本語が美しい歌をもっとたくさん歌ってほしいということ。彼の英語の発音もクリアで大好きなんですが、美しい日本語で彩られた歌をもっと聞いてみたい。何がいいか色々と考えて思いついたのが

 ・大江千里「いつかきっと」*4

 ・大江千里「マリアじゃない」*5

 ・さだまさし「交響楽」*6

どれも大好きな楽曲です。特に「いつかきっと」はメロディーもまっすーの雰囲気に合うんじゃないかと思います。さださんの「フレディもしくは三教街」*7の歌詞世界もまっすーには合うんじゃないかなと。柔らかくて哀しくて切なくて美しい。ほかの方の楽曲にもたくさん素敵なのがあると思うので、これはというのがあったらぜひ教えていただければ。

  ※ひとつ挙げるのを忘れていました。「いつかきっと」に並ぶぐらいまっすーに歌ってほしい楽曲なのになんで忘れてしまったのか…。

 ・椿屋四重奏「紫陽花」*8

 もう解散してしまったバンドだけど作詞・作曲・ヴォーカルの中田裕二さんは以前の水曜歌謡祭でまっすーと「サザンウインド」をコラボされた方です。

 

 とりあえず今は次にまっすーの歌声が聴ける日に思いを馳せつつ、買い出しの度に下着売り場に怪しくたたずんで「シリウス*9をできるだけ長く聴く日々です。